第1話 麦茶はじめて物語

「麦湯」は江戸の夏の風物詩
日本人が麦茶を飲み始めたのはいつの時代のことなのでしょうか。百科事典によると、麦茶は「麦湯」とも呼ばれ、煎茶よりもはるかに古い時代から飲まれており、江戸時代には、すでに麦湯がお店で売り出されるようになっていたそうです。
寛政から天保にかけての江戸の様子を描いた「寛天見聞記」(天保年間・1830〜44年)に、「夏の夕方より、町ごとに麦湯という行灯を出だし、往来へ腰懸の涼み台をならべ、茶店を出すあり。これも近年の事にて、昔はなかりし也」と書かれており、この頃から、夏の風物詩として麦湯が飲まれていたことがうかがえます。
ちなみに、麦湯が夏の飲料として愛されるようになったのは、5〜6月に刈り入れされた直後の新麦を焙じたのが香ばしく、美味だったことが始まり。初夏のことを「麦秋」と呼ぶのも、麦が秋の稲刈りの後に作付けされ、初夏に収穫されていたことに由来しています。

